台湾原住民と北海道アイヌが友好交流推進協定を締結

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Photo by 卓溪, Kumpei Shiraishi, Snake Cats, cactusbeetroot

2022年8月3日、”台湾花蓮県秀林郷”と”北海道白老町”が友好交流推進協定を締結しました。

このニュースを知ったとき、純粋に嬉しい気持ちになりました。

先住民が国際交流を深めていきた事実と、互いを尊重し文化の保存を促進する姿勢に感無量です!

日本で台湾原住民族の文化を広めたい本メディアとしては、ぜひ取り上げたい時事ニュースのひとつです!

この記事を読むことで、

  • 協定の概要と締結に至った経緯がわかる
  • “台湾花蓮県秀林郷”と”北海道白老町”がどんな町なのかわかる

それでは、本編スタート!!

友好交流推進協定とは

先住民族の国際協定とはどんな内容なのか?
どういう経緯で締結することになったのか、説明します。

協定の概要

友好交流推進協定の内容とは、互いに文化の保存幅広い分野で平等互恵のもと交流を促進するといったものです。

▼主な分野

  • 教育
  • 伝統
  • 工芸
  • 芸術
  • 観光
  • 産業

先住民族間の交流によって国際的な友好交流協定を自治体間で結んだのは、白老町初のこと。

本協定の調印式では、それぞれの代表が以下のように期待しています。

郷が誇る自然とタロコ族の文化を生かし、両郷町のますますの交流と新たな外交視野を広げていきたい
王郷長
台湾花蓮県秀林郷長
新型コロナウイルスの感染が落ち着いたら教育や観光分野で交流したい。特に子どもたちが異文化の勉強をすることは大変意義が大きいと思う
戸田町長
北海道白老町長
二つの先住民族文化復興拠点が手を取り合ったことは、とても意義深い。締結を機に台日の結び付きが強まり、観光、文化、青少年交流が深まっていくことを期待する
謝駐日代表
台北駐日経済文化代表処代表

引用:北海道ニュースリンクより

締結に至った経緯

台湾原住民族と北海道アイヌの国際交流は今に始まったことではなく、実は長きにわたり行われていました。

台湾と白老町は、民間主体で親睦交流を重ねてきました。

約10年前にはアイヌ民族博物館(現国立アイヌ民族博物館)が台湾原住民委員会の要請を受けて訪台しました。

2014年には白老日台親善協会が発足し、白老町の協会関係者が「台湾行政院原住民文化園区」を毎年訪問することが、公式行事になりました。

その他にも台湾合唱団の白老コンサートなど、白老日台親善協会を中心に民間レベルでの交流を重ねてきました。

2015年11月には、アイヌ民族博物館と台湾国立博物館「台湾行政院原住民文化園区(屏東県)」が博物館協定を締結。

上記の流れを受けて、この度、台北駐日経済文化代表処(領事館に相当する)から秀林郷との協定締結が提案され、白老町はアイヌ文化振興に加え、幅広い分野での交流を目指し締結しました。

国際交流の軌跡

2014年04月01日
国立民族学博物館が順益台湾原住民博物館と学術協力協定を締結

2014年05月15日
国立民族学博物館と国立台北芸術大学が交流協定を締結
 
2014年07月10日
国立歴史民俗博物館と国立台湾歴史博物館が協力協定を締結
 
2015年10月16日
国立民族学博物館と国立台湾歴史博物館が学術研究交流協定を締結
 
2015年11月29日
アイヌ民族博物館と国立博物館が博物館協定を締結

http://www.ritouki.jp/index.php/info/20151202/より

なぜ、秀林郷と白老町なのか

今回W主演の秀林郷と白老町ですが、なぜこの二者が協定を結ぶことになったのでしょう?

実は二者の間で多くの共通点があるようです。

例えば土地、村の人口、民族の生活様式や、文化など、協定締結に至ったひとつの要因のようです。

そんなW主演である秀林郷と白老町を、簡単に紹介します。

秀林郷ってどんな町?

台湾東部の花蓮県にある秀林郷は、台湾全土で最大の面積を有する郷鎮(日本の「市」に近い)です。

太平洋に面している土地のほとんどは山岳地帯。観光地として有名な太魯閣渓谷などがあります。

タロコ渓谷の写真
筆者撮影

人口の90%がタロコ族

秀林郷の人口は1万5000人余りで、太魯閣族(以下、タロコ族)がその90%以上を占めています。

この地では漢民族が逆に「少数民族」とジョークになるほどです(笑)

“タロコ(Truku)”はタロコ語で「連なる山の峰」の意味で、その昔、日本人が彼らの言葉を聞き取れず「タロコ」と名付けたそうです。
タロコ族の生活の基本は狩猟と織物でした。彼らの文化と北海道アイヌの文化の間に共通点があったことも今回の協定につながっています。

北海道白老郡白老町

続いて、北海道白老町も紹介します。

白老町ってどんな町?

白老町は、北海道南西部に位置しており苫小牧市と室蘭市の真ん中あたりにあります。
白老町も太平洋に面しています。

新千歳空港空港から車で約40分、札幌市から約1時間で行くことができます。

白老とは、アイヌ語で「虻(あぶ)の多いところ」と言う意味の言葉「シラウオイ」からきたといわれているそうです。
有名な観光地としては、ポロト湖、クッタラ湖、アヨロ海岸などがあります。

ちなみにポロトには、あの星野リゾートがあります。

アイヌ文化伝承の地

北海道庁HPより

白老町は、日本の中で最もアイヌ人口の多い町といわれています。
人口は約19,000人、そのうち2,700人ほどのアイヌが暮らしています。

2020年7月にアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ(民族共生象徴空間)」がオープンしました。

“ウポポイ”はアイヌ語で「大勢で歌うこと」を意味し、アイヌ文化の復興・創造・発展を目的に様々な体験ができます。

ウポポイ基本情報

住所:〒059-0902 北海道白老郡白老町若草町2丁目3
営業時間:平日 9:00~17:00│土日祝日 9:00~17:00
アクセス:JR白老駅から徒歩で約10分│新千歳空港から約40分
入場料:大人 1,200円│高校生 600円│中学生以下 無料
HPhttps://ainu-upopoy.jp/

さいごに

この記事を通して「台湾原住民族と北海道アイヌって国際交流してるんだな~」となんとなく覚えていただけるだけでも、嬉しいです。

今後、全世界的にこういった先住民族間の国際交流が活発になることを期待するとともに、本メディアの運営のミッションを達成するために日々がんばっていきます!