台湾といえば「お茶」ってイメージがありませんか?
筆者も台湾に住んでいた頃は、お茶をガブガブ飲んでいた記憶があります(笑)
実は近年、台湾産コーヒーが注目を浴びているんです!
今回は台湾の中でも幻といわれている阿里山コーヒー中心に紹介したいと思います。
この記事を読んでいただくことで、
それでは本編スタート!
台湾コーヒーの歴史
阿里山コーヒーの紹介をする前に、台湾コーヒーの歴史を紹介させてください。
歴史を知った上で、飲んでみるとまた違った味わいを楽しめるかも!?
読み飛ばしたい方はこちら
オランダ人が持ち込み、日本人が育成した
1600年代、オランダ統治時代にコーヒーの苗木が持ち込まれたのが始まりといわれています。
1895年、日本統治時代になり本格的にコーヒーの栽培が始まりした。その品質は当時の天皇に献上されるほど高品質だったそうです。
さらに1930年代に入り国内消費、海外輸出が増えました。日本人経営のコーヒーショップも台湾に進出するなど黄金時代を迎えました。
しかし戦後、日本は台湾から撤退、世界的にもコーヒーの需要は落ちました。
もともと台湾ではコーヒーを飲む習慣や文化がなかったこともあり、コーヒー栽培は衰退の一途をたどります。
それから外国産の安価なコーヒーが台頭し始め、ますます台湾におけるコーヒーのプレゼンスは下がりました。黄金時代にならっていうのであれば、まさに暗黒時代といえるでしょう。
コーヒーブーム再来
明けない夜がないように、暗黒時代にも光が差し込みます。
台湾でコーヒーブームが再来しました。
主な理由としては、以下の通りです。
- 海外コーヒーチェーン店の台湾参入により、コーヒーが大衆化していった
- 1999年の921大地震を機に、台湾政府がコーヒー豆の栽培をバックアップした
- 官民連携で台湾の特産物を世界に発信するMIT(Made In Taiwan)の動きが高まった
努力の甲斐もあり、台湾コーヒーは台湾内および国際コンテストで数々の賞を受賞、世界から注目を浴びることになります。
また、2020年には豆の品質を評価する国際機関「コーヒー品質協会(CQI)」で、台湾産の豆が世界最高点を獲得しました。
今では毎年「台湾咖啡節」というお祭り行事が行われているように、台湾でのコーヒーブームが再来したのです。
台湾もコーヒーベルトの一員
コーヒーは、どこもかしこで栽培できるわけではないようです。
コーヒー豆の栽培に適した地帯は「コーヒーベルト(※)」と呼ばれており、実は台湾も含まれています。
※コーヒーゾーンとも呼ばれる
台湾以外にもベトナム、ブラジル、エチオピア、コロンビア、グアテマラといったコーヒー界の常連60ヶ国以上が含まれています。
以上、台湾コーヒーの歴史と豆知識でした!
台湾阿里山コーヒー
台湾コーヒーの中でも阿里山コーヒーは「幻のコーヒー」と呼ばれています。
そして、阿里山コーヒーになんと原住民族も関わっているのだとか。
どんな味がするのか、筆者の感想もあわせて参考にしていただければと思います。
幻のコーヒーと呼ばれる理由
台湾嘉義県の阿里山は茶葉が有名な産地ですが、標高1,600mの高山である阿里山は「台湾イチのコーヒー豆の産地」でもあります。
おいしいコーヒー豆ができる秘訣は昼と夜の”温度差“といわれており、阿里山は昼夜の”温度差“が大きくコーヒー栽培に適した気候と場所なんですね。
さらに阿里山一帯は国立公園に指定されており、コーヒー園の周りは手つかずの自然が広がっています。
そんな阿里山コーヒーが「幻」といわれる理由は、
台湾全土の面積は九州とほぼ同じ。そのぶん栽培できるコーヒーの敷地面積が限られています。他国に比べ年間収穫量も少ないため、希少価値がとても高いといわれています。
機械に頼らず大部分の作業を人手でやっています(手摘み、殻向き、焙煎など)もちろんオーガニック。
勤勉な国民性と長年の経験から裏付けられた品質の良さが、世界的に評価をされいています。
上記に加え、有名なコーヒー生産国や発展途上国に比べ台湾の人件費は高いため、通常のコーヒー豆の倍以上の値段で取引されています。
台湾コーヒーの取引量がそもそも少く、(予算的に)仕入先も限られているわけなんですね。
そんな幻のコーヒーが、なんと台湾のマクドナルドで飲むことができます!
筆者も実際に飲んできましたので、感想は後ほど~
阿里山に住むツォウ族とコーヒー
ここで阿里山とゆかりのある原住民族を少しだけ紹介させてください。
阿里山には鄒族(以下、ツォウ族)が今も昔も住んでいます。”ツォウ”はツォウ語で”人”を意味します。
ツォウ族にはこんな伝説があります。
太古の昔、偉大な神(hamo)がカエデの葉を使い、マーヤ人(兄)とツォウ人(弟)を創造なさった。
Wikipedia―洪水伝説
ある日、人類の祖先である女神(ニヴヌ)が玉山に降り立ち、大洪水が起きた。
玉山にいた人や動物たちは生き残り、台湾各地に移り住んだ。
兄弟は別れる際に弓を二つに分けてそれぞれ持って別れ、弟は南西の山麓へ降り、兄は北東へ旅立った。
日本統治時代、自分たちと顔立ちがよく似た日本人を見て「マーヤが帰ってきた」と歓迎の意を表し、日本人と関係が良好だったといわれています。
阿里山で出会ったツォウ族の青年がとてもEXILEのメンディー似ていたので、そのことを伝えると、上記のような昔話を話してくれました(笑)
「阿里山のコーヒー王子」の愛称で呼ばれる方政倫氏も実はツォウ族。
彼の経営する「樂野鄒築園(ゾウジュエユン)」は、台湾コーヒー界で知らない人はいないでしょう。
- 2017年には十大神農獎を受賞
- 2019年に台湾国産スペシャルティコーヒー品評会で85.60点を獲得し特等賞(第1位)
- 2020年にはコーヒーレビュー(Coffee Review)で94点を獲得
SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)認定のカップ審査員の証明書を持っているコーヒーの専門家です。
台湾コーヒー史上最も高い評価を受けています。
方政倫氏は自身の今後について以下のように述べています。
「自分の最終的な目標は、自分たちの民族がこの産業によって強く成長すること。『先住民族は弱者だ。補助に支えられている』といつまでも言われたくない。我々にはこれほど良い土地があるのだから、とても強力なグループになれるはずだ。自分たちツオウ族のコーヒーは阿里山を代表していることをみんなに知ってもらいたい。いつの日か、アフリカでも台湾の品種をこぞって植えるようになる。そう考えると素晴らしいじゃないか」
TAIWAN TODAYより
阿里山コーヒーを飲んだ感想
せっかくなので、マクドナルドで飲んでみました(笑)
いただいたのはアラビカ種(ゲイシャ)、精製方法はウォッシュド、焙煎深度は中煎りでした。
飲んだ率直な感想は、フルーティーで口当たりがすっきりとして後から甘味を感じました!
「コーヒ=苦い」という固定観念をくつがえすような1杯です。
阿里山コーヒー豆の果肉(コーヒーチェリー)はとても甘いといわれています。
「ん?なんかお茶っぽい香りがする」それもそのはず、加工、焙煎、抽出の工程においてお茶との共通点が多いとのこと。
1杯飲んだだけでは信じられず、その他にも台湾のコーヒー専門店で試飲させていただきました(別にマクドナルドさんを疑っているわけでは…)
やはりお茶の香りもするし、程よい酸味と苦味、果実のようにフルーティーでふくよかな甘みがある。
コーヒーの専門家ではありませんが、テイストをグラフで表すとこんな感じです。
これは疑いようもない事実で、個人的にショッキングな体験でした。 これなら苦味が苦手な方でも飲みやすいなと思います。
阿里山コーヒーが飲めるお店を紹介(台湾&日本)
「阿里山コーヒーについてはわかったけど、どこで飲めるの?」
ご安心ください。阿里山コーヒーを楽しめるお店を台湾と日本に分けてご紹介します!
「地理的に行くのが難しい」「自宅で飲んでみたい」という方向けに阿里山コーヒーの入手方法もあわせてご紹介します。
台湾編
台北市内の店舗を中心に紹介します。
森高砂咖啡(San Cofee)
とりあえず、こちらに行っておけば間違いないです。
台湾産コーヒー豆のみを取り扱う、唯一のコーヒー専門店。
店内はクラシカルな雰囲気で、棚に陳列されたコーヒー豆は、お土産用にテイクアウト可能です。
コーヒーを注文すると試験管が出てくる一風変わったスタイルは、ここだけ!
また、観光客に人気の「迪化街(ディーファジェ)」が近くにあります。歩くのに疲れたらこちらで1杯飲んでまったりしてみてはいかがでしょうか。
蜂大咖啡(Fong Da Cofee)
続いては、創業65年の老舗喫茶店。
台北の原宿-西門町に店を構えるレトロな喫茶店です。地元の人からも人気があり、多くの観光客が訪れます。
オーナーの曹さんは毎朝阿里山など7種の豆を自ら焙煎するほどのこだわり。
水出しコーヒーも提供しており、ホットコーヒーはサイフォン式を採用しています。
モーニングメニューが豊富なので、早朝行かれるのをオススメします!
Goodman Roaster
さいごにご紹介するのは、日本人が経営するコチラのお店。
台湾阿里山コーヒーに魅了されたオーナーの伊藤さんが立ち上げました。
台湾の農園と協力し品質改良に取り組むほど、阿里山コーヒーを知り尽くしています。
ユニークなのは阿里山高山茶付きのセット。コーヒーを飲む前に、お茶で嗅覚をリセットしてから味わってほしいという計らいだそう。
日本編
日本で阿里山コーヒーを飲める店舗をご紹介します。
Goodman Roaster
2019年に京都に3号店をオープン。
テイクアウトして、阿里山コーヒーを味わいながら京都の町を散歩するのもいいかもしれませんね。
店名:Goodmans Zhishan in taipei
予算:500円~
メニュー:日本語、中国語、英語
営業時間: 平日8:00 〜 11:00、13:00 〜 18:00│週末8:00 〜 18:00 ※詳細はInstagramをチェック
住所:京都府京都市下京区矢田町115-2
アクセス:地下鉄烏丸線 四条駅 徒歩約4分
通販でも手に入る!阿里山コーヒー豆&粉のおすすめ4選!
お試し100g [生豆] 台湾阿里山 コーヒー豆
まずは少量でいいから試してみたい方にはこちらをオススメします。
▼楽天市場
神農生活 台湾コーヒー(ドリップコーヒー)
こちらはドリップパックコーヒーになります。手軽に飲みたい方向けです。
▼楽天市場
阿里山コーヒー ドリップバッグ コーヒー 珈琲 12袋入り/箱 2箱セット
阿里山コーヒーをもっと楽しみたい方にはこちらをおすすめします。
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4種の最高級コーヒーを楽しむ【BEMO Cafe】ワールド
BEMO CafeとWorld Barista Champion(ワールド・バリスタ・チャンピオン)を受賞したコーヒー職人によって厳選されたコーヒー豆を、自分で楽しむのもよし。ギフトにするもよしです。
▼Amazon
さいごに
いかがだったでしょうか?
これであなたも阿里山コーヒーを飲まずにはいられなくなったと思います。
この記事を書くまでは、なんとなくでコーヒーを飲んでいたのですが
コーヒー豆の種類、焙煎の深度など、コーヒーの世界がこんなに奥深いことを学べてよかったです。
また阿里山コーヒーの生産に原住民族が関わっており、より興味関心を持てました!
(こんなことなら、台湾滞在中にがぶがぶ飲んでおくんだったな…)
ぜひ、生きているうちに「幻のコーヒー」を試してみてください!